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二人のガスコン〈上〉 (講談社文庫)



二人のガスコン〈上〉 (講談社文庫)
二人のガスコン〈上〉 (講談社文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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ダルタニャンのその後

デュマの名作「三銃士」の設定を借用した長編小説。ダルタニャンのその後を描く。「三銃士」では無茶な冒険をしたダルタニャンも、組織社会で生きていくうちに分別をつけていく。実現可能性のない夢を嘯く夢想家に対し、現実から逃げているだけと批判しており、それに相手も影響を受けている。「あふれんばかりの想像力を自慢しながら、もう月の世界、太陽の世界に逃げようとは思わない」(下巻133頁)。他方で自分では何もしないにもかかわらず他人が仕えてくれるのを当然視する王族の身勝手さに不満を感じている。
絶対王政の独裁政治を打倒し、貴族による共和政治・議会政治を目指す政治運動がある。一人の人間が勝手なことを拙速に進めないように、会議体による合議を政治の中心に置くという政治思想が絶対王政確立期に既に存在していたことは興味深い。現代は過去と断絶しているものではなく、民主主義や基本的人権も古代・中世の連続の中から発展してきたものだろう。


二人の主人公は魅力的なのだが・・・

権謀術策渦巻く17世紀前半のフランス、ルイ14世の時代。
二人のガスコン(ガスコーニュ人)が主人公。かたやデユマの「三銃士」三部作に登場する名剣士ダルタニャン。もうひとりは巨大な鼻で有名、文武に優れたと伝えられるシラノ・ド・ベルジュラック。時の宰相マゼランからふたりに、ある貴婦人の護衛せよとの密命がくだる。

ダルタニャンと聞くと酒井法子の歌が聞こえてきそうだが、その「三銃士」の栄光は過去の事、“若い頃の夢を切り売り”してきたかつての快男児は、マリーに、不幸な事件で死んだ昔の恋人(「三銃士」の中のエピソード)の面影をみる。一方のシラノも従妹ロクサーヌへの、史実にも有名なかなわぬ恋路に恋々としている、とふたりとも陰影をもつ三十男として登場する。
自尊心が高く猪突猛進の典型的ガスコーニュ人気質のふたり、仲間意識どころか、うまくいくはずもなく衝突する・・・。
護衛される貴婦人マリーが本編のヒロインというところだろうが、これが一筋縄にいかない女性。ふたりは彼女の行動に振り回される・・。

3冊に及ぶ大部の作品だが、前半はふたりの主人公を描くのに費やされ、ストーリーがなかなか動き出さない印象。いつもの猥雑で生き生きとしたストーリーを期待するとやや展開がスローに感じられる。中盤に至り、ようやく彼らの裏でうごめく陰謀が姿を見せ、鉄仮面、ルイ14世双子説などこの時代不可欠な道具立ても著者独特の料理を施され登場し、興が乗るかと思わせる。
が、どうしたものか、この前半からの、すっきりしない印象は最後まで尾をひくのだ。

ダルタニャンとシラノのコンビは魅力的。二人が活躍する続編があるのであれば是非読みたいと思う。
デュマのダルタニャン物語三部作のストーリーや人物にも触れられるシーンも多く、またシラノの恋の行方といった予備知識があるとさらに楽しめるだろう。著者自身による『ダルタニャンの生涯』(岩波新書)もおもしろい。

佐藤作品としてはちょっと・・・

中近世のヨーロッパを舞台に物語世界を作り続ける佐藤賢一の長編。
ダルダニァンとシラノ・ド・ベルジュラックという古典の有名登場人物2人にタッグを組ませ、フランス王室にまつわる秘密・陰謀に立ち向かわせるという話で、それなりに面白く読めますが、超長編の割には起伏が少なく、佐藤作品のなかでは今ひとつというのが正直な感想。
自分の好みとしては、「双頭の鷲」のような爽快な活劇も、「王妃の離婚」のようなサスペンスも好きなのですが、この作品では、両方の要素を盛り込みながら、中途半端に終わっているように思いますし、ダルダニァンもシラノも、原作にある魅力を出し切れていません。素晴らしい作品が多い佐藤氏の作品としては、お薦めする順位はかなり下の方でしょう。
これが書きたかったのか!

作者の最も書きたかった題材だということだ。
主人公2人は文学の中の王者である。架空の人物ではないが
もともとはデュマたちの筆で紙上の有名人になった2人。
物語は大きな謎を追いかける冒険活劇だ。
読者もダルタニャンやシラノとともに謎に迫っていくことになるだろう。
軽快なストーリーとともに、作者の遊び心に触れながら

一気に読める小説になっている。
佐藤作品の中でも最も力が入っているといてよいだろう。
副読本として岩波の『ダルタニャンの生涯』を側に置いておくと
より楽しめること請け合いである。
読了後にデュマの『三銃士』をまた読みたくなったのは私だけじゃないのでは?



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